よいこの宮古島ガイド 1 


 3泊4日の宮古島の一日目の大半は、このように移動が大半を占めてしまった。
たどり着いた「アトール・エメラルド・ホテル」は、宮古島の歓楽街「平良〈ひらら〉市」のはずれ、フェリーターミナルのすぐそばに建っていた。
部屋は全室オーシャン・ビュー、窓からは伊良部島がすぐそばに見える。
 宮古島は上の方が細く、下になると広がっているちょうど胃下垂を反対にしたような形をしている。
その胃袋の入り口のあたりに、平良市〈現在は宮古市〉がある。
 移動による遅れを取り戻すべく、荷物を部屋に置くとすぐに歩いて平良市内へ繰り出した。
この町は、それほど大きくもなくかといって、座間味や久米島のように小さくもなく、ちょうどいい大きさの町だ。
この近所でいえば、滝川市ぐらいの感じかもしれない。
 
 台風の名残か風が少し強かったが、気温はかなり高めだったので、風がちょうど心地よい。
途中の靴屋で雪駄を買い、前回もいった「あぱら樹」という居酒屋へ行く。
そこでまず定番のオリオン生で乾杯。
 さすがに腹も減っていたので、つまみも注文する。
まずは青いパパイヤでつくる「パパイヤ・チャンプルー」、それと珍しいところで「島らっきょうの天ぷら」
塩で漬けて花かつおをのせて食べる島らっきょうも絶品だが、この天ぷらはまた格別だった。
ビールによく合うこと。
 一軒でできあがっても研修にならないので、ここはこれぐらいで引き上げて、初めての店を探すことにした。
とはいっても、めくらめっぽう探しても仕方がないので、あらかじめネットであたりはつけてあった。

パパイヤ・チャンプルー 島らっきょうの天ぷら

 その店の名は「ぽうちゃ たつや」
「ぽうちゃ」とは多良間島の方言で祭事の際の担当料理人のことをいうそうだ。
カウンターと小あがりが二つぐらいのこぢんまりした店だったが、なによりもピンと張りつめた空気がいい。
親方の料理をつくるときの目つきがいい。
そしてもちろん、出てくる料理も申し分ない。
ここは大当たり。
「島豆腐」「ゴーヤのサラダ」などをつまみに、親方といろいろ話をして楽しい時間を過ごすことができた。
 ここの親方はこのへんにしては珍しく日本酒好きということで、壁には広島の地酒「加茂鶴」の生酒入荷という張り紙がしてあった。
けっこうコシの強い酒なので「濃い口のお酒が好きなんですか?」ときくと、ドッシリしたタイプの酒が好きで、その中でも広島の酒が好きだという。
 「北海道では淡麗辛口の人気が高いんですよ」というと、「気温の差でしょうか?」と、不思議がっていた。
 暑い方が口当たりのさっぱりした酒を好みそうなものだが、なんでも聞いてみなくちゃわからないものだ。
 あれやこれやと話が弾み、楽しい時間を過ごしたのだが、さすがに疲れが出たので、帰ることにした。
 そこでよせばいいのに、いつものくせで、コンビニでビールとつまみを買ってしまう。
今回こそは「こういうこと」は、しないとあれほど誓ったのに・・・・。

 その誓いを破った祟りか、マダムのおにぎりからは具がすっぽりと抜けていた
てなことで、やっとたどり着いた宮古島の一日目はこうして終わりを告げた。

波乱を予感させつつパート4に続く