1日目 「日々これ研修の巻」


去年の大阪同様、ひょんなことから東京に行くことになっってしまった。
それもこれもJALが、我々貧乏人のためにやってくれている「バーゲンフェア」なるものがよくないのだ。
あんなもののおかげで、全国一万円ぐらいでどこでも行けるなんていう気楽な感じがわき上がってきて、そこへ酒の勢いが加わり「おーっし、東京でも大阪でもどこでもいってやろうじゃんか!!田舎モンをなーめたらあかんぜよ!!」なんて気分になってしまうのだ。
それこそがJALの思う壺か、毎度すっぽりはまって大した用もないのに、のこのこと出かけていくことになってしまう。

ま、それじゃいい年をしてアホ丸出しなので、なにかとってつけたような目的を考えることにした。
つまり
1・映画「タカダワタル的」の鑑賞、および差し入れおよび激励、(禁酒のススメを含む)。
2・アイリッシュ・パブのメニューおよび味付けの研究
3・日本の台所「築地」の見学および味と価格の研究
4・庶民の伝統芸能の城、寄席の見学(できれば話芸、技芸の習得も)
5・温故知新、古き江戸の風俗を肌感じる深川江戸資料館の見学
6・古きよき下町の風情が香る谷根千の散策(古今亭志ん生の入ったという銭湯の研究も含む)
7・浅田次郎が通い詰めたという神田の老舗天丼屋「八つ手屋」の味を研究
8・かつて東京のモダンシーンのメッカ浅草の変貌、衰退を肌で感じる
と、まあいかにもとってつけたような、今の仕事に関係ありそうななさそうな目的をでっち上げ、ご大層に「研修旅行」という名目で出かけることに相成った。


さて、1日目は一緒に行った友人のそのまた友人宅に泊めていただくことになり、その友人の行きつけの居酒屋でいっぱいやろうということになり、大井町へ出かけていった。

大井町といえばやはり「大井競馬場」。
初めて行った大井町は川が流れ、桜の並木のある落ち着く感じのする町だった。

休みだというのに開けてもらったその店の名前は、まったく覚えていない。
しかし、ひと組の夫婦とその母親らしき女性と従業員らしいお姉さんがいたのだが、なんとそのノースリーブのワンピースのいかにも従業員かむすめさんといった風情のその子が、その店のオーナーだったのだ。
うーむ、よくわからん。
はやくも東京の摩訶不思議な一面を覗いてしまったような気がした。


ふと気がつくと、なぜか近くの店に行き、カラオケを歌おうということになったらしく、その店へ移動した。


よくわからないインテリアに囲まれながら
熱唱する前ちゃん
ちなみにさっきの町内の若い衆?の団体も
この店にいた


そこには、そのオーナーの女の子、その兄妹夫婦、その母親、人形町から呼び寄せた前ちゃんなど10人近い人間がいた。
もと、ヤクザがオーナーだったというそのチャイニーズカラオケバーは、いかにもその筋の人間の趣味であふれかえっていた。
赤いソファー、きらきらのシャンデリア風、よくわからない趣味の置物やツボの数々・・・・。
一瞬、芦別に帰ってきたのかと思うような感覚に襲われたほどの趣味の良さだった。
ただ、従業員が中国人だということを除けば、そこはまったくの芦別そのもの。いやぁ、東京はふかい深い!!

おかげさまで見事に泥酔させていただきました。
そんなこんなで、東京の1日目は「研修」とはほど遠い有様で更けていったのだった。
その店の名前? もっちろんおぼえていましぇん。


2日目「日本の胃袋はでかかった」に続く。