2日目その3「研修は続くよ。どこまでも」の巻


谷中の熱湯銭湯「世界湯」で、ほどよくゆであがった我々は、次の目的「アイリッシュ・パブのメニューおよび味付けの研究」のために、山手線に乗った。
最初は天王洲アイルにある「ラウンド・ストーン」に行こうと思っていたのだが、マサルさんが「うちの近所にもあるぞ。」というので聞いてみると、大崎の駅前にも「シャノンズ」というアイリッシュ・パブがあるという。
宿泊先のマサルさんのマンションも、大崎なのでこりゃ好都合と、その「シャノンズ」に行くことにした。

今までディランをやってきて、バーの研究!!をしてはいたのだが、どうもイギリス式のバーとは求めるものが違うと感じ始めていた。
じゃあ、アメリカンタイプかというと、それもちょっと違う。
ところがある雑誌で「アイリッシュ・パブ」の特集を見たとき、「おっ、もしかしたらこれは!!」と、思った。
その気さくな感じが、求めていた雰囲気にとても近いのだ。
今日はついに初「アイリッシュ・パブ」体験だ。
アイリッシュといえば、アイリッシュ・ミュージックとギネスビールとベッカムとかいう玉蹴り野郎しか思いつかんが、はたしていかなるところであろうか。


マダムの東京の友人も誘い、初めて入ったアイリッシュパブは想像していたとおり、とても落ち着く酒場だった。
なにはともあれさっそくギネスの生で乾杯。
ギンギンではなく、本当にほどよい温度で、とても飲み口がいい。
さあて、研修研修
まず、アイリッシュといえば定番の「フィッシュ&チップス」
これは白身魚のフリッターのようなものと、ポテトにも衣をつけて揚げている。
モルトビネガーという麦から作った酢をかけて食べるとこれがまたすこぶる美味い。
もちろん芦別に帰ったあと、ディランでも常備することになった。
でも、わりと酢って嫌われてんだよね。
美味いんだけどなぁ、フライにかけて食べると。
さらにディランでも時々焼く「ソーダブレッド」も注文するが、これはディランのほうが美味しかった。
そのほかにも色々つまみをとって、研修に全力を尽くした結果、見事に酔っぱらってしまった。
しかし、その雰囲気と味はしっかりと頭の中にたたき込んできたので、遠からずディランのメニューに反映されることに違いないでしょう。
あいにく降り出した雨のため、テラスで飲むことは出来なかったがあそこで飲むギネスもまた格別だろうなとちょっと未練が残った。


アイリッシュ・パブの研修も無事終了した次の日、研修意欲に燃えた我々の次の目的は研修番号第五番「温故知新、古き江戸の風俗を肌で感じる深川江戸資料館の見学」
それの一体何がディランの研修になるのかは、はなはだ疑問だが、「人生に無駄なし!!」
きっとこの研修のすべてが、これからのディランの奥行きを深めてくれるであろう・・・・きっと・・・たぶん・・・。

大量生産と大量消費でしか維持していくことが出来ない現代の社会とはまったく正反対の究極のリサイクル都市「江戸」
その当時の庶民は一体どれぐらいシンプルな生活をしていたのだろうか?
今の時代からすると不便この上ない時代だっただろうが、なぜかそのシンプルさには大きな魅力を感じてしまう。
写真や文字からは感じ取ることの出来ない実物大の下町文化がこの資料館にある。
さあ研修、研修。
町中にはためいている深川名物「深川めし」ののぼりにかなりの未練を残しながら我々は江戸の下町に飛び込んでいった。


研修3日目「こんな風に過ぎていくのなら」に続く