2日目「東京の胃袋はでかった」の巻


初日から東京にいるんだか芦別にいるんだかわけのわからん体験をしたおかげで、次の日は当然のように強烈な2日酔いだった。
それもそのはず、昨日ときたら空港でビールのつまみに食べたいなり寿司数個、マサルさんの家でワインのつまみに食べたアジの干物とブルーチーズ少々、居酒屋でビールのつまみに食べた枝豆と空豆少々、乱入してきた若い衆?にいただいた豚汁少々、チャイナパブで焼酎の水割りのつまみに食べたとーっても湿気った江戸揚げ以外なにも腹に入っていなかったのだ。
まさか、研修の1日目が酒のつまみの研修になるとは・・・・・。
教訓1 「カラ酒は2日酔いの元」!!
やはり先人の教えは正しかったことがこれで立派に証明された。

んじゃ、この空腹を満たしてくれるところへ行こうじゃないかと、我々がうだるような太陽の下出かけていったのは、日本の胃袋といわれる「築地」
そこは、セリなどの行われる「場内」と、一般の人達も気楽に買い物や食事のできる「場外」からなっている。
教訓2 「おのぼりさんは、迷う前に人に尋ねるべし」の教えどおり、築地駅から人に尋ねながら、ようやく目指す築地に到着。
しかし、築地の地図を持ってきたにもかかわらず、自分のいる場所がどこだかさーぱりわからない。
地図を見ると、縦横整然と区画されているのだが、何しろでかい上に一年間で芦別とすれ違う以上の人間の数に、圧倒されてもともとあるはずのない地理カンがぐちゃぐちゃになっているのだ。


こんな山があちこちに築かれているのだ

「路地マニア」といわれるぐらい、路地を見つけると入ってみたくなる習性があるので、つい場外でもふと細い路地に入ってしまった。
そこには、小さい食堂などが軒を並べていた。
「はーい!!マグロ丼食べた?美味いよーっ」という声に、ほとんど反射的に反応してしまい、マグロ丼を注文。
みそ汁がついて\800なり。
2日酔いの体にシジミのみそ汁は特効薬のようにしみ込んでいった。

整然と並んでいるはずの、築地を勝手に迷いながらあちこちを研修
最初にビックリしたのは、積み上げられた発泡スチロールの山。
たぶん今日一日で出たのだろうけど、「飽食の国 日本」を実感した。

もう昼過ぎだったので、場内の方はほとんど店じまいにかかっていたようだったので、場外の方を重点的に研修
たしかに、生鮮ものは新鮮だが、驚くほど安いわけではない。
場内の新鮮なものが、その場で食べられるというところが場外のウリなのだろう。
しかしあと数年で、場内は別の場所に移転されることが決定しているという。
そうなったとき、この築地市場はどのようなスタイルで生き残るのか興味のあるところだ。


すると、マダムが以前から食べてみたかったというラーメン屋を発見。
さっきのマグロ丼が腹の中にきれいに残っているというのに、まるで昨日の空腹のかたきをとるかのように注文。
もちろん我々は静観の構え。

忙しい築地の人達の食欲を満たすために、限りなく細く切られた麺は、さっぱり味のスープとよく絡まり、オープンエアで食べたそのラーメンはことのほか美味だったということだ。

芦別の「まつや」なきあと、さっぱり味のラーメンになかなか出会えず、不遇を託っていたマダムもこれでいくらか満足したらしい。
それが証拠に今でも「帰る前にもう一杯食べておけばよかった。」としきりに嘆いている。
しかしマダム、人間の欲望は無限でも胃袋は有限ですぞ。
教訓3 「人間食えるときに喰っておけ!!」

ここで、同行者と別れた我々は集団就職者の心の故郷、上野を目指すことにした。
そこには、新宿、池袋と並んで都内に三軒しか残っていない寄席「上野鈴本演芸場」が我々の来るのを今や遅しと待ちかまえているのだ。
衰退の一途をたどるという「寄席文化」と、衰退の極みの我が町芦別のイメージがどのようにシンクロするのかこの目でしっかと見届けなければ、わざわざ研修に来た意味がない。


さて、目指す上野はいかなる所であろうか。
2日目第2部「上野は僕らの心の駅だ」に続く