「吹雪の初ライブ」

 ほとんど毎月、いろいろなところからライブをやりに、ミュージシャンが来てくれる。
 東京、大阪、名古屋、遠くは沖縄からもやって来る。
 その大半は、初夏の北海道や景色のよい秋口などを目指してやって来る。
 「真冬でギンギンの北海道も味わってみたいですね」という奇特なヤツもたまにはいるが、あまりの寒さに驚き、二度と冬にはこなくなる。
 今年最初のライブは、大阪からやってきた「アズミ」。
 だれのものでもない自分だけの世界を持っている個性的で熱いギタリストだ。
 ライブ当日の一月三十日は、記録的な猛吹雪。札幌のファンに車で送ってもらうといっていたが、案の定、滝川で通行止めを食ってしまった。
 なんとかリハーサルには間に合ったが、今度は「こんな吹雪の中、お客さんは来るのか?」と心配になってきた。
 でもそんな心配をよそに多くのひとが目も開けられないような雪の中、来てくれた。
 しかも遠いところは網走管内佐呂間町からまで。
 おまけに、帯広からは打楽器奏者もセッションのためやって来た。
 これでステージが盛り上がらないわけはない。
 ライブのあと、アズミに「真冬の北海道には懲りたんじゃないの?」と聞くと、「またこの時期に来ますわ」と笑いながらいった。
 その意気やで! アズミ。ほれ直したわ。